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シェルの未来予測レポート ”Shell Global Scenarios to 2025″と”Shell energy scenarios to 2050″




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 今回はちょっとまじめな話。最近、地球環境が危ないといった報道や、格差社会や少子高齢化社会の到来などと叫ばれていますが、ちょっと興味深い未来予測に関する資料があります。

 それが、2006年に出された、”Shell Global Scenarios to 2025″というレポートです。

 日本法人では昭和石油シェルで、オランダに本拠地を置くロイヤル・ダッチ・シェルでは、定期的に未来の予測シナリオをつくっています。以下の図は、”Shell Global Scenarios to 2025″のシナリオ中に出てくる図の1です。

 これはとてもよく考えられたビジョンで、まず世界を図る基準が三角形で表されています。
それぞれの角が

  1,Efficiency(効率:市場誘導)
  2,Security(安全・セキュリティ:強制、規則)
  3,Social cohesion, justice(社会的結束・正義:共同体の力)

 
を表します。

 そしてそれぞれの角を結ぶ辺から、

  1と2より「Low Trust Globalisation(信頼・信用度の低いグローバリゼーション)」。
  1と3より「Open Doors(門戸開放・機会均等政策)」
  2と3より「Flags(地域や愛国共同体)」

の3つのパターンになるというものです。

 ここでこのレポートが言っているのが、

「The Three forces…the Trilemma Triangle ..the “Two Wins-One Loss”(3つの勢力、このトリレンマ・トライアングル(※ジレンマの3つバージョン)では、2つの勢力が生き残り、1つは消える。) 」

ということ。つまり、1,2,3の三つの価値基準の、どこに重きを置くかで、どの方向性になるのかが決まるというものです。

 最初の「Low Trust Globalisation(信頼・信用度の低いグローバリゼーション)」は、3が欠けているため、市場主義な効率化とセキュリティ対策が完璧に行われている社会を示し、私には少々人間らしさに欠けそうなイメージです。

 次の「Open Doors(門戸開放・機会均等政策)」な社会は、2のセキュリティ面が欠け、市場原理と、様々な共同体から成り立つ社会。これは、現代の社会と似てる気がするのだけれども、セキュリティ面が抜け落ちることになるのは、どういうことなのか。共同体で監視し合っているということでしょうか? 

 最後の「Flags(地域や愛国共同体)」は、監視と、愛国というキーワードで、市場を考えないため、ローカル化された小さな形態社会なのかなと思います。

 このシナリオの是非については、私の今の知識ではなんとも言えませんが、大胆で面白いのは確かですし、世界の転び様では、どの世界も考えられます。

 そして、これから2年経った今年の2008年4月、シェルは”Shell energy scenarios to 2050″というシナリオを発表しました。これは地球のエネルギー使用に関する半世紀分の将来予測です。そのコアの図が以下のもの。

 簡単に説明すると、「Scramble(より効率的なエネルギー使用への注力)」と、「Blueprints(身近な場での行動計画)」により、環境負荷を減らすエネルギー使用、持続可能なエネルギー社会をめざしていくというものです。細かいところは、このレポートを読んでいただければと思いますが、レポートは最後にこう締めくくっています。

 ”If histrians now see the turn of the 19th century as the dawn of the industrial revolution, I hope they will see the turn of 21th century as the dawn of the energy revolution.”
  (もしも今、歴史家が19世紀を「産業革命」の夜明けと振り返るのならば、私は彼らに21世紀を「エネルギー革命」の夜明けと振り返って欲しいものだ。)

 この言葉のように、21世紀中に、エネルギー革命は起こるのでしょうか?いや起して行かねばならないのでしょう。
 最初の”Shell Global Scenarios to 2025″のシナリオも、”Shell energy scenarios to 2050″のシナリオも、私達が、日頃の身近な生活の中で、社会を、世界を、地球の事を少しずつでも意識していないと動いていかないと思います。自分の行動や、嗜好や意志は、どのような社会に繋がる可能性があるのか、考えるきっかけになるかもしれません。





【参考】
Shell energy scenarios to 2050:http://www.shell.com/home/content/aboutshell/our_strategy/shell_global_scenarios/shell_energy_scenarios_2050/shell_energy_scenarios_02042008.html

Shell Global Scenarios to 2025:http://www.shell.com/home/content/aboutshell/our_strategy/shell_global_scenarios/previous_scenarios/previous_scenarios_30102006.html

Shell Scenarios – Shell Global
http://www.shell.com/global/future-energy/scenarios.html